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「酵素の仕事」シリーズ 8)糖分解酵素ーマルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼ

糖質の分解

糖質を分解する酵素には、アミラーゼを始め多くの酵素が知られています。図1に消化器系での糖質分解酵素を示します。マルターゼやスクラーゼ、ラクターゼは糖質の分解に関わる酵素です。各酵素の分解反応や活性測定方法については、マルターゼスクラーゼラクターゼの各セクションをご覧ください。各酵素は主に腸液に含まれています。唾液や膵液中のアミラーゼで糖質がオリゴ糖や二糖、単糖に分解され、そののち腸液に含まれるマルターゼやスクラーゼ、ラクターゼによってマルトース、スクロース、ラクトースなどの二糖がグルコース、フルクトース、ガラクトースといった単糖に分解されます。分解された単糖は小腸上皮細胞内を通過し血液に入り込んで門脈を通り肝臓に運ばれます。動物の腸に常在している腸内細菌にも糖を分解する酵素群が多く含まれます。そのため腸における糖の分解は膵液や腸液、小腸上皮細胞、腸内細菌の分解酵素によって進行します(下図)。また、トレハロースの分解酵素であるトレハラーゼは小腸上皮細胞に存在しておりトレハロースをグルコース二分子に分解します。因みにトレハロースは海藻やキノコ、酵母などに含まれています。セルロースを分解するセルラーゼは動物の消化酵素ではありませんが、草食動物の消化器官内細菌が持っているので、草食動物は体内に取り込んだセルロースを分解することが出来ます。消化しきれなかった糖質は食物繊維として排出されます。



単糖の吸収機構

小腸には腸絨毛と呼ばれる構造があり、その表面は小腸上皮細胞で覆われています。また、小腸上皮細胞の小腸空間側には微絨毛があり、それを含めた構造を広げた面積は約200平方メートルといわれています。その表面積によって消化された栄養分を効率的に取り込むことができるようになっています。

グルコースは細胞膜上の糖輸送体(glucose transporter:GLUT)を通して細胞内に取り込まれます。小腸の上皮細胞においても、糖輸送体を介してグルコースは小腸上皮細胞から取り込まれます。ただ、一般的な細胞とは異なり、小腸上皮細胞膜上には、ナトリウム依存性グルコース輸送体(sodium/ glucose cotransporter:SGLT)があり能動的にグルコースを取り込む仕組みがあります。小腸管腔側のグルコースをナトリウムイオンと一緒に輸送する共役輸送体SGLT1の働きによってグルコースを細胞内に取り込み、細胞内を移動したのち、細胞の基底膜側にある糖輸送体(GLUT2)を通って血管内へと移動します(下図)。同様の機構が腎臓にもあり、腎臓尿細管にある糖輸送体はSGLT2と呼ばれます。ガラクトースの取り込みと輸送は、同じSGLT1とGLUT2を介して血管内に移動し、フルクトースはGLUT5によって細胞内に取り込まれ、小腸上皮細胞に取り込まれたフルクトースは同様にGLUT2で血管内に運ばれ、肝細胞においてフルクトキナーゼでリン酸化され、さらにホスフォフルクトキナーゼでリン酸化されてフルクトース-1, 6-ビスリン酸となり、解糖系によりピルビン酸となってミトコンドリアに入り込みクエン酸回路の基質となります。フルクトースはグルコースよりも開環構造の割合が高く、リジン等のアミノ基と反応しメイラード生成物を形成しやすいために生体にとって毒性があり、それが肝臓での代謝を急ぐ理由であると考えられています。なお、一緒に細胞内に入り込んだナトリウムはNa-K ATPaseによって細胞から排出されます。


同仁グローカルでは、各種酵素活性、阻害活性分析を行っています。

詳しくは、下記をご覧ください。



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