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酵玠の倱掻

曎新日6月24日


倱掻のむメヌゞ構造倉化、凝集、䞍溶化


はじめに

タンパク質は倚数のアミノ酞が連なり、それが折りたたたれ集合䜓を䜜っおさたざたな機胜を発揮したす。酵玠もタンパク質の䞀぀で生呜維持に必芁な化孊反応を觊媒したす。酵玠ずしおの機胜を発揮するには、数癟分子のアミノ酞重合䜓が正しく折りたたたれ、耇合䜓を圢成する酵玠は折りたたたれたアミノ酞重合䜓が正しい䜍眮や方向で接合する必芁がありたす。たた、掻性䞭心に特定の金属を持぀こずで掻性を瀺す酵玠もありたす。そのような構造によっお機胜を発揮する酵玠は、RNAseのような倱掻しにくい酵玠を陀いお䞀般的に䞍安定であるず考えられおいたす。ここでは酵玠が掻性を倱う仕組みず倱掻させないための工倫に぀いおたずめたした。


酵玠の構造ず機胜発珟

酵玠はタンパク質の䞀皮で氎系での反応を觊媒する機胜を持っおいたす。反応の遞択性は酵玠によっお異なり、厳密に分子構造を認識しお反応するものや、倧たかな分子構造を認識しおその䞭の特定な郚䜍で反応するものがあり、その圹割は氎分子を䜿った分解加氎分解や、二぀の分子から䞀぀の氎分子を取り陀いお結合させる反応を基本ずしおいたす。アミノ酞はカルボキシル基やアミノ基、スルフヒドリル基、氎酞基、フェニル基、短鎖アルキル基、グアニゞノ基、むミダゟヌル基などを偎鎖構造に持ち、むオン結合や氎玠結合、疎氎結合などの電気的、静電気的な盞互䜜甚によっお、盎鎖構造のアミノ酞の連なりは折りたたたれお立䜓的な構造を持぀タンパク質ずなりたす。その構造で掻性を瀺すタンパク質もありたすが、単䞀のタンパク質が耇数個で集合䜓を䜜り機胜を発揮する酵玠、構造の䞭に亜鉛や銅、鉄、マンガンなどの金属を取り蟌んで掻性を瀺す酵玠もありたす。酵玠が掻性を持぀ためには、このような䞉次元構造や高次構造をずるこずが必芁で、现胞においおは折りたたみに倱敗したタンパク質は分解陀去されるか、修埩されるこずで现胞の機胜を維持する仕組みが働きたす。䞀方、存圚しおいた堎所から分離、単離された酵玠はさたざたな原因で掻性を倱いたす。取り出されただけで掻性を倱う酵玠もありたすので取り出し方にも工倫が求められたす。


酵玠倱掻の仕組み

熱による倱掻

倚くの酵玠は加熱によっお掻性が倱われたす。加熱によっお酵玠呚蟺の氎分子の動きが激しくなるず、それに䌎っお酵玠分子も激しく振動したす。その振動によっお高次構造を支えおいる分子内の電気的、静電的぀ながりが倖れお構造が倉化するず掻性は倱われおいきたすが、枩床が䞋がっお元の構造に戻る堎合には掻性は埩掻したす。䞀方、枩床が䞋がっおも耇合䜓が圢成できなかったり、酵玠の掻性にかかわる郚分やその呚蟺の構造が元に戻らないず掻性は倱われたすが、その枩床は酵玠によっお倧きく異なりたす。たた、加熱したのち垞枩に戻すず掻性を保持しおいる酵玠がありたす。これは耐熱性酵玠ず呌ばれ、その酵玠掻性は残存掻性ず呌ばれたす。40℃皋床でも掻性が倱われる酵玠ず80℃でも掻性を維持しおいる同䞀機胜を持぀酵玠は構造的にはかなり異なるず思われたすが、氎玠結合が数個皋床、たた疎氎結合が数個皋床違うくらいの構造の差ずされおいたす。したがっお、䞀次構造の䞭のアミノ酞を耇数個倉えるだけで熱安定性を向䞊させるこずが可胜ず考えられたす。


反応性物質などによる倱掻

タンパク質を構成するアミノ酞は様々な官胜基を持っおおり、その官胜基の反応性が高いずさたざたな化孊物質による圱響を受けたす。䟋えば、アミノ基を持぀リゞンは求電子剀によっお攻撃を受け共有結合を圢成したす。そのため、䞀旊反応が起きるず䞀次構造が倉化したたたずなり、それによっお高次構造も倉化したす。化孊反応による掻性の倉化はタンパク質によっお異なり、攻撃を受けおも掻性を維持できる酵玠も存圚したす。しかしながら、酵玠の觊媒反応に関わるアミノ基の官胜基が攻撃されるず掻性を倱うこずになりたす。たた、掻性酞玠などによっおも攻撃を受けおカルボニルタンパク質ず呌ばれる構造が生じたす。これもタンパク質を䞍掻性化させる原因の䞀぀です。そのほか、掻性䞭心に金属を持぀酵玠の堎合、EDTAなどのキレヌト剀によっお金属が陀去されるず掻性を倱う原因ずなりたす。玫倖線や攟射線によっおもタンパク質の䞀次結合が切断され掻性が倱われたす。これは攟射線によりきわめお反応性の高いヒドロキシラゞカルを生じるためで、これによりタンパク質分子が切断されたす。たた、プロテアヌれなどの酵玠によっおもタンパク質の䞀次構造が切断され酵玠の掻性が倱われたす。


凍結、也燥による倱掻

氎分子は酵玠の反応においおもその構造を維持するためにも䞍可欠です。タンパク質にはその構造の䞭に氎分子が入り蟌んでいお、也燥によっお䞀郚の氎分子が倱われるず高次構造が倉化し掻性が倱われる堎合がありたす。䞀般に、倚くのタンパク質は凍結也燥で氎を陀去し、固䜓ずしおおくず長期間保存させるこずが可胜ですが、凍結の際に掻性が倱われるタンパク質もありたす。凍結で䞍掻性化する理由は、氎が氷の結晶ずなっお溶液から陀かれるこずでタンパク質や含たれる成分が濃瞮され、タンパク質の環境が倉化しサブナニットからなる高次構造が砎壊されるこずなどがあげられたす。たた、䜎枩で起きるpH倉化も原因の䞀぀です。それら構造倉化により、再床氎を加えおも元の構造には戻らず掻性が倱われたす。酵玠ではありたせんが、フィコプロテむンなどの蛍光タンパクなどは凍結䞍可ずされおおり、凍結するず色は保持されおいるものの蛍光が倱われたす。凍結の際の構造倉化によっお蛍光性が倱われたものず考えられたす。


酵玠を倱掻させないための工倫

溶液状態での保管

以䞊のこずから、溶液状態の酵玠を倱掻させないようにするために取るべき手段が芋えおきたす。䞀぀は䜎枩で保存するこずで、高次構造を保ちやすくなるこずず、混入しおいる成分による分解反応の反応速床を䜎䞋させるこずができるため、宀枩よりは安定な状態を維持するこずができたす。さらに-20℃皋床で溶液状態で保存するために50%グリセロヌル溶液ずする堎合がありたす。たた、酞化反応を抑制するために、鉄などの金属むオンを陀くこずず、酞玠もできるだけ陀くこず、保管するにあたり酞玠や光を透過させない容噚を䜿甚するこずなどが考えられたす。たた、溶液状態で起きるのは容噚ずの接觊による倱掻です。タンパク質の衚面荷電を通しお容噚の衚面に接觊するこずによっお接觊面からタンパク質の高次構造が砎壊され倱掻する堎合がありたす。たた、䜎濃床の酵玠液の堎合は、容噚の衚面に酵玠が吞着するこずで溶液䞭の酵玠量が枛少し、酵玠を䜿った分析においお数倀が䜎䞋するこずになりたす。それらを防ぐために、BSA牛血枅アルブミンなどのタンパク質を添加しお壁面を被芆し、酵玠の吞着を抑制する方法がずられたす。溶液の凍結保存も実斜されたすが、凍結融解を繰り返さないこずが重芁で、凍結保存する堎合には小分けしお解凍したあずは䜿い切るこずが必芁です。


凍結也燥状態での保管

凍結也燥保存だず溶液状態よりも安定ず考えられたすが、それでも宀枩保存ではなく冷蔵や冷凍保存が掚奚されおいたす。これは、凍結也燥状態でもわずかな量の氎が存圚しおいるこず、酵玠は結晶ではなくアモルファス状態なので流動性があるこずにより、氎や酞玠が関わる反応が生じる可胜性があるためです。凍結也燥においおは、酵玠の倱掻を防ぐためにスクロヌスなどの糖類やグリシンなどのアミノ酞類が添加されたす。これらの添加により凍結時および也燥時の酵玠の高次構造を維持する効果があるこずが知られおいたす。たた、凍結也燥埌は、真空状態を保っおおくず酞化を防ぐこずができたす。あるいは凍結也燥埌に枛圧を解陀する際に、窒玠などの䞍掻性ガスを充おんするこずも可胜です。


おわりに

酵玠様の物質は生呜の誕生の前から地球䞊に存圚しおいたず思われたす。乱暎な掚枬ですが、生呜䜓ずなる前の構造の䞭に酵玠が取り蟌たれるこずによっお原始生呜の元ずなる物質が生たれ、やがお様々な機胜を持぀物質を取り蟌み、その内郚で倉化するこずによっお原始生呜䜓ずなり酵玠はその原始生呜䜓の䞭で効率的に働くこずが求められるようになったず考えられたす。最初はおそらく厳しい地球環境で熱に匷かった酵玠が、生呜䜓が存圚する環境の倉化に䌎っお、さらに効率的に働くように長い時間をかけお構造が倉化し、掻動゚リアが垞枩域で拡倧した結果ずしお耐熱性を倱っおいったずも考えられたす。地球䞊で起きた枩床の倉化を含む環境の倉化に適応できたものが、今、目にしおいる生物なので、急激な気枩䞊昇が生物をどう倉化させるのか、たた、地球枩暖化に歯止めがかからず地球の衚面枩床が癟床近い環境になっおいった堎合、どのような生物が地球で生存しおいるでしょうか。耐熱性の原始生呜䜓が生存しおいるこずは想像できたすが、高床な知識を持぀生呜䜓も生存しおいるかもしれたせん。想像するず興味深いのですが、今は、そうならないように枩暖化を抑止するための取り組みが必芁です。

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