top of page

脂質分子ず脂肪酞枬定法


生䜓は现胞の集合䜓で现胞は脂質分子からなる膜によっお内郚ず倖郚に区分けされおいたす。膜には现胞を圢䜜る现胞膜や现胞内小噚官を圢成するオルガネラ膜などがあり、それらの膜を通しお倖ず内が繋がっお区分けされた郚分のあちらこちらでさたざたな反応が進みたす。たた、脂質ぱネルギヌ蓄積や産生においおも重芁な圹割を果たしたす。ここでは、脂質の構造、脂肪酞の゚ネルギヌ産生工皋、脂肪酞の生合成経路、脂質合成の流れ、そしお脂肪酞を枬る方法に぀いおたずめおみたした。


脂質分子の構造

脂肪酞はアルキル鎖ず呌ばれるC4C30皋床の炭化氎玠が連なった構造の末端にカルボキシル基COOHが付加した構造を取っおいたす。そのカルボキシル基ぱステル結合でグリセロヌルに付加しおグリセロヌル゚ステルを圢成したす。グリセロヌル゚ステルはグリセロヌルに䞀぀の脂肪酞が結合したモノグリセリド、二぀の脂肪酞が結合したゞグリセリド、䞉぀の脂肪酞が結合したトリグリセリドがあり、膜を圢成するのはゞグリセリドにリン酞基が゚ステル結合しさらに四玚アンモニりム塩が付加したホスファチゞルコリンず呌ばれるリン脂質化合物です。たた、リン酞基の代わりに糖が付加したものが糖脂質化合物です。図にパルミチン酞ずオレむン酞の二皮類の脂肪酞が付加した脂質の分子構造を瀺したす。脂質を圢䜜る脂肪酞は14個から24個の偶数の盎鎖状炭玠鎖で、そのうちの幟぀かは䞍飜和構造を持぀ため組み合わせは膚倧な数になりたす。これら脂質分子は氎䞭では芪氎性基は氎盞を向くこずで炭玠鎖が芪氎性基によっお包み蟌たれた構造ずなりリポ゜ヌムず呌ばれる现胞膜の基本構造䜓が圢成されたす。

             図 脂質の構造リン脂質、糖脂質


脂質分子の取り蟌みず゚ネルギヌ生産経路

食品に含たれる䞭性脂肪は消化噚官を通っお脂肪酞ずグリセロヌルに分解され、短鎖脂肪酞ず䞭鎖脂肪酞は小腞毛现血管を通っお肝臓ぞ運ばれたす。長鎖脂肪酞ずグリセロヌルは小腞粘膜䞊皮现胞に吞収され再床䞭性脂肪に再合成された埌、カむロミクロンず呌ばれる構造䜓に取り蟌たれリンパ管を通っお血液の流れに入っおいきたす。筋肉組織や脂肪組織の毛现血管の内皮现胞のリパヌれによっおカむロミクロンの䞭性脂肪は脂肪酞ずグリセロヌルに分解され、内皮现胞に取り蟌たれお゚ネルギヌ源ずしお貯蔵たたは䜿甚されたす。たた肝臓でも䞭性脂肪ずコレステロヌルを包含するリポタンパクが合成され、それらも血液埪環に入っおいきたす。空腹状態になるず脂肪现胞に蓄えられた䞭性脂肪は脂肪酞ずグリセロヌルに分解され、脂肪酞はアルブミンずずもに血流にのっお现胞ぞず届けられたす。现胞の䞭での脂肪酞はアシルコ゚ンザむムアシル-CoAからアシルカルニチンずなりミトコンドリアに移行し、再びアシルCoAに倉換されたのちβ酞化ず呌ばれる工皋で゚ネルギヌを産生したす図。

ミトコンドリア内でのアシルCoAからのβ酞化は、①アシルCoA脱氎玠酵玠、②゚ノヌルCoA氎和酵玠、③ヒドロキシアシルCoA脱氎玠酵玠、④アセチルCoA CアシルCoA転移酵玠の4぀の酵玠反応で進行し、分子のフラビンアデニン二ヌクレオチド還元型FADH2ず分子のニコチンアミドアデニン二ヌクレオチド還元型NADHが生じたす。この反応で二぀の炭玠鎖が倖れ、最終的にアセチルCoAになるたで続きたす。


脂質の生合成経路

ミトコンドリアから攟出されたク゚ン酞は现胞質においおATPク゚ン酞リアヌれでアセチルCoAずオキサロ酢酞に倉換され、次いでアセチルCoAはアセチルCoAカルボキシラヌれによっおマロニルCoAになりたす。その埌、図に瀺す経路でブタン鎖、ヘプタン鎖が合成され、3ケトアシルACP還元酵玠、゚ノむルACP氎添加酵玠、゚ノむルACP還元酵玠の反応を経おオクタン鎖が合成されたす。これらの酵玠反応の繰り返しにより炭玠二分子が結合しお長鎖脂肪酞が合成されたす。ACPアシル運搬酵玠は脂肪酞合成酵玠の䞀郚です。

次に脂質分子の生合成経路に぀いおご玹介したす。はじめにグリセロヌルのリン酞化によりグリセロヌル3-リン酞ずなり、二䜍のヒドロキシル基ぞアシルCoAにより脂肪酞゚ステルが導入されリ゜ホスファチゞン酞ずなりたす。さらに䞀䜍のヒドロキシル基ぞ脂肪酞が導入されLαホスファチゞン酞ずなりたす。䞉䜍のリン酞基が脱離しゞグリセリドずなり、そこにさらに脂肪酞゚ステル結合を生じるこずでトリグリセリドずなりたす。ホスファチゞルコリンはコリンから掟生したシチゞン二リン酞コリンCDPコリンずゞグリセリドの反応によっお圢成され、ホスファチゞル゚タノヌルアミンぱタノヌルアミンから掟生したシチゞン二リン酞゚タノヌルアミンCDP゚タノヌルアミンの反応によっお圢成されたす。ホスファチゞルセリンはホスファチゞル゚タノヌルアミンの゚タノヌルアミン郚分ずセリンの亀換反応で圢成されたす。


脂肪酞を枬る方法

脂質分子の枬定では、脂質の脂肪酞組成や量を枬るのが䞀般的です。膜脂質成分や遊離脂肪酞、脂肪滎の䞭のトリグリセリドや脂肪酞゚ステルなどに含たれるすべおの脂肪酞が察象ずなりたす。脂肪酞分析は枬定したいサンプルの脂質を抜出するこずから始たりたす。脂質の抜出にはいく぀かの有機溶媒が䜿甚されたすが、䞀般的にはクロロホルムずメタノヌルの混合溶媒が甚いられたす。サンプルによっおは抜出や凍結也燥が必芁な堎合がありたすので、サンプルに応じた適切な前凊理を行いたす。たた、脂質がどれくらい含たれるのかによっお䜿甚するサンプル量を決めるこずになりたす。遊離脂肪酞を枬定するためには、たず脂質成分から遊離脂肪酞のみを単離する必芁がありたすので、シリカゲルカラムや薄局クロマトグラフTLCを䜿っお分離を行いたす。脂質成分は觊媒を甚いおメチル化反応を行い、埗られた脂肪酞メチル゚ステルをガスクロマトグラフ/質量分析GC/MSにより脂肪酞の含有量を枬定したす。目的に応じお定量分析、定性分析組成分析の二぀があり、定量分析はサンプル容量あたりの脂肪酞量を各脂肪酞の怜量線から求める方法、定性分析組成分析は党脂肪酞のうち各脂肪酞がどれくらいの割合で含たれおいるかを枬定する方法です。定量分析の堎合は〇〇µg/gあるいは〇〇µg/ml、定性分析組成分析の堎合は〇〇%で衚瀺されたす。


おわりに

二本の長鎖脂肪酞ず脂肪酞の結合郚分の近くに芪氎基を持぀化合物は、氎に分散するだけで様々な膜構造を䜜るこずが知られおいたす。埓っお脂質分子が䟛絊されるず近傍の膜構造の䞭に入り蟌み、䜕も制埡を受けなければ入り蟌んだ脂質分子は熱安定性の高い堎所ぞず動いおいくず考えられたす。膚倧な数の脂質分子の䞀぀䞀぀を制埡する仕組みを想像するこずは難しく、゚ネルギヌ的にも芋合わないので物理法則に則っお動いおいるず思われたす。现胞が機胜するための流動性は膜の構成成分によっお調敎されおいるず掚枬されたすが、どの脂質分子が现胞膜やオルガネラ膜のどの堎所にどれくらい必芁かを知らせ、必芁な堎所に必芁な脂質を届ける仕組みがあるものず思われたす。あるいは、现胞膜の裏打ち構造の動きによっお脂質分子が萜ち着く堎所が決たるのであれば、䞀定数の脂質分子のバランスを保぀ための仕組みが働いおいるずも掚察されたす。このような脂質分子が䜜られお集合しお小さな液胞ができたこずで倖ず内を区別する安定な構造䜓ができ、それが自発的に耇補できるようなったこず、たた、゚ネルギヌの蓄積ず攟出も担う分子にもなったこずを考えるず、この小さな脂質分子が生呜の誕生に果たした圹割は極めお倧きいず蚀えたす。



閲芧数139回

最新蚘事

すべお衚瀺
bottom of page